◎ 私の人生、メデタシ、メデタシ・・・
にしても、最近にしては珍しく爽やかな訃報に接した感じで、杉浦直樹さんに何となくひと言お別れをいってみたくなった。ひょっとしたら、カメは一番好きな俳優だったかもしれない。「軽妙洒脱」との言葉が最初に浮かんだ。そう、好きで映画館に通っていたころ、その後はテレビドラマで杉浦さんを随分たくさん見たような気がする。いつも脇役だったが、軽妙洒脱なその存在は際立っていたし、そんな姿を見てカメは何となく安心したし、勝手な仲間意識からか自然と微笑んでいたような気がする。最近ではまったく見かけなくなっていたのだが、この訃報で知らされたことも多い。簡潔な訃報はこう伝えている。
ニヒルな二枚目からコミカルな老人まで、円熟した味わいのある演技で活躍した俳優の杉浦直樹(すぎうらなおき)さんが、21日午後7時23分、肺腺がんのため亡くなった。79歳だった。告別式は親族で行う。喪主は妻、仁美(ひとみ)さん。
そして、最期は周囲に「私の人生、メデタシ、メデタシ」と別れを告げたという。 いまわの際にこれだけの言葉が出てくるとは、何ともいい話だ。羨ましい。いまさらながらだが、杉浦さんらしいのだろう、できれば生前、一度でもお会いしてお話をうかがってみたかったと思った。
略歴は、愛知県出身。1950年新演劇研究所を設立し、新劇活動に入る。『真空地帯』『検察官』『どん底』他多数上演。故石原裕次郎さん主演の映画「錆びたナイフ」(58年)で印象的な敵役を演じ、一躍脚光を浴びた。58年松竹に入社し、大船映画に多数出演。その後も映画、テレビ、舞台で活躍した。
2006年9月、杉浦さんは脳こうそくのため出演舞台の降板を発表。以来、リハビリに努めてきた。酒豪で知られ日本酒なら一升は軽く、両切りピースを愛飲。最近はどちらも控えめだったが、体調を崩して先月、都内の病院に入院したという。「両切りピース」とはカメと一緒で懐かしいし、これまた嬉しい。また、演技に生活臭が出るのを嫌い、5年前に脳こうそくで倒れる以前は都内の一流ホテル暮らしを続けていたそうだ。生涯独身としてきたが、看取ったのは同居する50代とみられる女性・・・とあった。
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