2006/11/06

◆ゴーストライターは影の存在でしかないのに


にしても、役者の格の違い、器の違いを思い知らされた。だから、キャスティングの段階ですでに失敗作・・・、お粗末でしたとしかいいようがない。松本幸四郎主演のテレビ朝日系スペシャルドラマ「信長の棺」、珍しく原作を読んでいて、期待して見たのに・・・、幸四郎の存在感が原作をぶち壊してしまった。
幸四郎の役回りは織田信長の実在の側近であり、いわば信長のゴーストライターである太田牛一なる事務官なのに、その存在感があまりにも大きすぎる。

ゴーストライターとは、そもそも影の存在、黒子役だ。天下をうかがう巨大な存在である信長役がTOKIOの松岡昌宏あたりでは勝負にならない。主従関係が逆転して見え、それだけでドラマに入っていけない。何とも、がっかりした。これは、プロデューサーの責任だろう。何より、幸四郎の役どころではないのだ。原作を読んでいるからこその感想だ。

小泉首相が愛読したと知って、「信長の棺」は読んでみた。
信長、秀吉、家康の話は、カメでもこれまであれこれ親しんできただけに、その生涯、時代背景など、ある程度は知っている。
ところが、火を放たれ全焼した本能寺の焼け跡のどこを捜しても、不思議なことに信長の遺骸は発見されなかったという・・・ゴーストライターがその謎に迫っていくという新たな視点に驚かされ、久々にワクワクして読んだ。
と同時に、作者・加藤廣、75歳の処女小説と聞いて、よくぞ!参った・・・と感服したものだ。
加藤さんがテレビドラマ化された「信長の棺」を見ていたら、感想を聞いてみたいものだ。