2011/09/05

◎何が何でも聞きたがるマスメディアの罪


にしても、一体、何様のつもりか。近頃特にマスコミの傲慢さと愚かさが目についてならない。外道を名乗るカメが言うのも憚られるが、人の道に外れている、よ。ウフッ。昨夜、22:00からのNHK ETV特集「おじいちゃんと鉄砲玉」を見てそんな感想を強くもった。番宣によれば、 去年、太平洋戦争に参加した1人の元海軍航空隊員が亡くなった。孫であるNHKディレクターは祖父の遺骨から、金属の固まりを見つける。生前「敵の攻撃で受けた鉄砲玉が頭の中に残っている」と語っていた祖父は、いかなる戦争を経験したのか。戦友を訪ね歩くうちに、祖父が心に秘めていた意外な事実を知ることになる。7人乗りの一式陸上攻撃機で、生と死の境をさまよった元海軍航空隊員たちの知られざる戦場と心の闇をたどる・・・とあり、ちょっと好奇心をそそられた。
91歳で亡くなった祖父、金属の固まりは骨上げの際みつけたそうで、祖父が生前話していたように被弾した鉄砲玉のようだ。で、孫のNHK女性ディレクターは祖父がどんな海軍航空隊員だったのかを各地で生存する戦友を探しては佐賀、鹿児島、愛知などを訪ね、カメラを回しながら聞いて回る、そんなドキュメント・・・。評価はさまざまだろうが、カメは取材の狙いが漠然として不明確なため退屈な仕上がりで、本来ならボツにすることが妥当かと思った。同時に、人の生き死にをマスメディアの玩具にしてはならないと強く感じた。
登場した90歳前後の戦友たちの口は重いし、皆が皆、真実を語っているとも思えないし、その保証もない。もはやウラを取りようもない話も多い。聞いていいこと、聞かないほうがいいこと、でも、何が何でも聞きたがる罪、何故、どうしてと疑問をぶつける、当事者にとってはもう触れたくない、触れられたくない、それをほじくりかえすという無神経、無配慮、聞かないほうがいいよ・・・ってことも多い。事実はどこにあるのか、期待している内容がある一方で、マイナス情報が出てきても否定も出来ない。ウラを取りようがない、結果的にウラが取れないケースも多々ある。事実が灰色の闇にフェードアウトしていく。
「墓場まで、棺桶の中まで持っていく」という言い方があることを斟酌してみたい。パパラッチが全てじゃない。生身の人間のとめどない好奇心ってやつは始末に終えない。ナマの人生、生き様、死に様はパソコンゲームなんかじゃない。重い、重い、重厚で尊いものだ。娘っこディレクターの邪悪な好奇心ごときにおちょくられてはたまらない、といったところだろうか。ウフッ。