2011/06/01

◎明かりが足りない夜は暗く、侘びしいだけ・・・


にしても、気がつけば、はや6月・・・、電力危機で節電、節電、クールビズといった言葉が飛び交う日本を離れてタイはチェンマイで暮らしていると、今日はこれから何を食うかで、当然ながら電力危機なんてどこ吹く風だ。
ただ、先夜乗車した、バンコク18:10発チェンマイ行き(07:45着)寝台特急の車窓からの景色はバンコクの光と陰が交互に現われ印象的だった。寝台特急の座席に座り、車掌がチケットを確認して、パンチを入れたら、スルスルっと定刻に出発進行・・・は、珍しいとか。寝台特急は薄暗い夕暮れ時のバンコクの光と陰の中をゆっくりと進む。

窓から外の景色をのぞくと、線路の中を普通に歩いている買い物帰りの小母さんもいれば、高校生ぐらいの少年もいて、線路脇に家畜舎とも見紛うバラックの住居が連なり・・・、コースは、さながら街中を走る江ノ電風なれど、いかんせん、どうにもならない貧困の格差を見せつけられた。時には、当然ながら、明かりを煌々と照らしている豪邸もある。旅情といっても、景色が貧困格差の図では、それに浸るわけにもいかず、移り変わる景色を黙々見続けているしかない。次の駅で、ボックス席の向かい(上段の寝台)に、体育会系のがっしりした男性が座った。教員か、綴じた厚いコピー用紙の束に目を落として動かない。

車窓の遠くには明かりの点いた高層ビルがポツンポツンと映し出され、並行して走る線路上では幼い女の子が3人しゃがんで、遊んでいるのだろう、何かしている。線路脇の空き地に明かりを煌々とつけた屋台群、やはり、これだけ明かりが豊富だと、貧しさもぶっ飛ぶ、印象・・・。明かりは豊かさなり、豊かさは明かりなりやな、と痛感。日本の現状に思いを馳せ、何せ、一時的にとはいえ、これでもかというほどの豊穣の世を体験したんだから、節電もやむなしかといえば、決してそんなことはない。街が暗くなって良いことは何もない。人の心も気分も暗くなって当然だし、いまや、ウオシュレットに尻を洗ってもらっているんだぜ、このカメは・・・。時間を巻き戻せるはずもないじゃん!!! 寝台特急が出発して30分余りで陽は落ちた。Gジャンに腕を通す。やはり、エアコンがそこそこ効いてきた。駅に止まるたびにお客が乗り込んできて、何だかんだ、けっこうお客はいる。この辺のクラス(2等、エアコン)にしておいて、正解だったかな。外は、完全に真っ暗・・・。また、線路脇に屋台群、今度は明かりが少ない。と、寂れて映る。明かりが煌々としていると、それだけで豊かで、愉しげで、賑やかそうで、人々の哄笑まで聞こえてきそうな気がする。そんな大切な明かりは安心して、思う存分、贅沢に使いまくりたい。節電の掛け声が聞こえてきそうな日本に帰らなければならないとは、何とも憂鬱だ。