◎入れ歯のせいでタイ料理が好きになった・・・
にしても、何故これほどまでにタイ料理が好きになったかというと、全ては入れ歯のせいとしかいいようがない。味覚が落ちたのである。どうしても濃い味、しっかりした味に惹かれる。入れ歯が濃い味を求めている。と、どうしてもニンニク、唐辛子がベースのタイ料理に落ち着く。微妙な味わいを競うような日本料理はまどろっこしく、バカバカしい。入れ歯では何の味もしない。旨く感じない、旨さが伝わってこない。薄味などはどうでもいい、辛いのか、甘いのか、酸っぱいのか、苦いのか、味をしっかりつけてくれというのが、入れ歯ゆえの腹の奥底からの叫びだった。
宿の近くの大衆食堂のメニューに「ご飯」があった。Sticky rice (Kaaw-Neaw)とSteamed rice (Kaaw-Suay)の2種類、 Stickyはタイ産のもち米、Steamedは普通のタイ米だ。どちらといえば、もち米が圧倒的に旨い。甘い味といい、粘りといい、しっかりした味でちょっとした一品、気に入った。日本米の比ではない。
平成の米騒動の際、タイ米はいわれなき誹謗・中傷を浴びた。日本米と比べ「パサパサする」「パラパラしている」などと不評で、挙句の果ては投棄されたり家畜の餌にされたりもしたそうだ。パサパサ、パラパラはタイ米なら当たり前、細長く、粘り気の少ないインディカ米だからだ。この品種を日本米と比較して云々するのは、まさに外が見えない、見たくない島国根性だ。
食文化にしても主食によって各国、実にさまざまな料理が開発され、工夫され、その国を象徴するような巨大な文化に育っている。粘り気のある米だからこその会席、日本料理だし、タイではパサパサだからこその炒飯、ぶっ掛け飯というわけだ。
*14日夜のメニュー(写真) Spicy Minced pork salad(Larp-Moo)、Spicy shredded bamboo-shoot salad in northeastern style(Soup Nor Mai)、Sticky rice.(Kaow-Neaw)/75Bart <付き出し=無料>キュウリ+キャベツ+香葉 (ビールは飲んでいない)