2009/01/18

◎ 完璧なクライシスマネジメントは幻になる・・・


にしても、あまりにも完璧なクライシスマネジメント、危機管理というやつは、実際に達成されてしまうと、結果的には危機そのものが存在していなかったかのように全てが推移していくような気がする。
例のニューヨーク・マンハッタンのハドソン川にUSエアウェイズの国内線旅客機1549便(エアバスA320型)が不時着した事故・・・、ベテラン機長の沈着冷静な判断と究極のプロの技が、乗客・乗員155人全員の命を救った。それは、まさに「奇跡」といえる。その日、日本でTVを見ていたカメは各局のニュースを追いかけ、何度も驚嘆し、感動し、その素晴らしさを何度も噛み締めた。
マンハッタンの西側を流れるハドソン川に同機が不時着したのは午後3時31分。その5分前、現場から東へ約12キロ離れたラガーディア空港を離陸した直後、鳥の群れに突っ込み、左右のエンジンに鳥が吸い込まれ、飛行できなくなったとみられる。
離陸から不時着までわずか5分間、鳥がエンジンに飛び込んでから川に不時着することを決断するまでは多分、3分足らずだろう。航行不能になってからの選択肢は空港へ戻るか、より近い空港へ着陸するか。眼前にはタイムズスクエアに摩天楼がそびえ・・・、マンハッタンに突っ込めば大惨事になる。ハドソン川にしても、多くの船舶が航行し、橋も架かっている。だが、最終的にハドソン川への着水を決断。機長は、機首を上げ気味に着水を敢行した。スムーズだった。機体は上半分をみせて水面に浮かび、乗客は翼の上などで救助を待った。
同機にとって偶然か、眼下にハドソン川があったのはラッキーだった。でも、カメなら、そこに着水するなんて・・・とても思いつかない、奇想天外である。機長にとっては当然の判断、瞬時の選択だったのだろう。誰にでも出来る芸当、技ではない。

なのに、なぜか、日本ではマスコミでの露出があまりにも少ない。もっと大々的に、それこそ昼夜を徹して延々と報じて欲しいし、それだけの価値ある、含蓄に富むニースなのに、だ。
カメは常日頃抱いていたマスコミへの違和感の謎に、この事故の奇跡が一つの答えを出してくれたと、やっと、そんな冒頭の箴言が思い浮かび、いまは、それが確信に変わった。
そう、カメが3年前、クモ膜下出血で倒れ、1ヵ月間入院、何の後遺症もなく退院して今日に至っているのだが・・・、となると、倒れて手術を受け入院していた事実があるにもかかわらず、カメの意識からはその事実が飛んでしまっている。ほんとに、そんなことがあったのかなぁ・・・といった按配なのだ。完璧なクライシスマネジメントなんて幻、そんなものかもしれない。
写真は、ハドソン川に不時着したUSエアウェイズ機=15日〔AP Photo〕