◎”NET革命”で独裁政権は崩壊したが・・・
にしても、チュニジアに始まったフェイスブックとツイッターによる長期独裁政権崩壊のドミノは止まるところを知らず、中東、北アフリカを次々と席巻してしまう勢いでNETのパワー、伝播力を改めて見せ付けられ驚き呆れているところだが、先の日曜日の夜、NHKスペシャル「ネットが革命を起こした~アラブ・若者たちの攻防~」を見ていてわかったのが、一つの情報発信が思い付きではなく、戦略を立て、戦術を練っている若者グループがいたことで、ただ、デモの実施日には予想を上回る人数が集まってしまい、収拾がつかなくなり、下手をすれば烏合の衆に化してしまいかねないことだ。で、よくよく考えてみると、将棋では素人でも「3手で1手」といわれるように「こう指せば」、相手は「こう指してくるから」、「その際は、こう指せば優勢・・・」といった「読み」に基づいて「次の1手」を選択するのだが、NETの場合は、どうやら「次の1手」だけで、その次の相手の「指し手」はもちろん、3手先までも読んでいない。現状破壊だけが狙いで、次を見ていないし、見えていない。先の展望がないわけだから、もっと悪くなる可能性も大きい。マイナスの選択になりかねない。とにかく、いまよりは良くなるだろうと・・・。それも、3年ほど前にフェイスブックでアラビア文字が使えるようになったことが大きい。
但し、その破壊力は半端じゃない。徒手空拳で時の独裁政権を叩き潰してしまうのだから・・・。ところが、どっこい、そこで快哉を叫んで、叫び疲れて辺りに目を配ってみると、多分、確かに独裁者はいなくなったが、次がいない。どんな国家、どんな政治体制、どんな社会をつくっていくのか、誰がそのリーダーシップを取っていくのか、何も決めていないし、想定もしていない。現状破壊、打破に力は発揮できても・・・、その後の混迷、無秩序ははかりしれず、無政府状態も出現、広がるかもしれない。
電子革命は、ことほどさように危うい。ここまでNETの力が世界中に蔓延してくれば、あとは人みな「地球人」にならなければ生き抜けない。電子ツールは現状破壊だけで、次の手は見せてくれない、見せられない、その人そのまま、生暖かい肉体と脳そのものなのだ。