2010/05/17

◎政治にいま求められる『切捨て』の発想・・・


にしても、みんな『いい子』でいたいのだろう、亡国の政治がますます加速していると感じた。最近、よく見るようになったBSフジ午後8時からの「LIVE PRIME NEWS」でこの13日、『“団塊の世代”その傾向と対策』を視聴しての感想だ。
番組の触れ込みによれば、日本の人口に巨大なボリュームを占める“団塊の世代”が、間もなく年金受給年齢を迎えようとしている。社会保障費の増大など “団塊の世代” が 今後の日本経済に与えるインパクトとは? さらに、国債依存の財政を下支えしている『団塊の世代の貯蓄』の動向は? これからの日本社会、政治、消費市場に及ぼす影響を自らも“団塊の世代”である作家の関川夏央氏、慶應義塾大学教授の曽根泰教氏が考察。そして第一生命経済研究所、主席エコノミストの永濱利廣氏を招き、経済的分析を交えながら“団塊の世代の傾向”を多角的に考える、とのこと。
“団塊の世代”といえば、いろいろな切り口があるだろうが、年金と社会保障に惹かれて視聴していたのだが、その解説と議論を聞いていて、局も局だが、ゲストもゲストで、ノー天気な『いい子』ばかりだと思った。 子供のまんま、大人になっていない、エエシのボンボンばかり。マッカーサーにいわれた「12歳」からほとんど成長していない。精神的にはまったく成人していない、というより、大人になろうとしていないといった方が的確か。
高齢者の就業については、60歳以上(有権者)を対象に実施された意識調査の結果を紹介、それによると、就業を希望する年齢は「働けるうちはいつまでも」がトップで41.2%、次いで「70歳位まで」が26.4%、続いて「65歳位まで」が17.9%、以下「75歳位まで」が9.7%、「76歳以上」が2.8%と、何と98%が就業意欲満々といったところで、「60歳位まで」は1.1%、「わからない」は0.9%でしかなかった。
にわかには、とても信じられない数字なのだが、こんな数字をベースに“団塊の世代”を云々するのは噴飯モノだと思うのだが、そんなカメの懸念には無頓着に、番組は進んで・・・。
まさに、平和呆け、ノー天気、性善説、善良な人々によるホームルームといった按配。どうやら、“団塊の世代”の世代像は単純にいえば、もうお金じゃない、安い月給でいい、或いは月給は要らない、ただ、役に立ちたい、会社に行きたい、通勤したい・・・といったイメージのようだ。さらに、65歳で年金をもらっている青年・・・、まだまだ現役 という意識なんだそうな。だから、老人向けの高齢者だけの会社を起業すれば、10万円の給料でも、どこかの会社で部長をやっていた人も雇える。リタイアした人が、それまでのキャリアを生かせる。で、コストが安いから成り立つ、というのだ。
何とも、ポジティブ・シンキングでお目出度い『“団塊の世代”その傾向と対策』なのだが、終身雇用の大船に乗って、仕事人間とか企業戦士といわれ、大企業の看板の元、それに庇護されたまま会社にどっぷりつかり、何不自由なく過ごしてきて、いまはその大船が泥舟に変って、いかだ舟やたらい船に乗り移ったりしても、残りはあと僅か・・・。
“団塊の世代”は、人口ピラミッドが葱坊主に変り、年金制度が破綻するのは、もうとっくにわかっていたことだ。それを認識していたにもかかわらず、誰も口にすることなく、先送りしてリタイアしてしまおうというのだから、何とも身勝手で、その責任は最も重いといわざるを得ない。
お人好しの思考では、いずれ八方塞になり、行き詰るのは目に見えている。政権交代が実現したいま、政治の役割で最も求められるのは「切り捨て」の発想ではないのか。