2012/02/28

◎チェンマイ特有の匂いは何とも心地良い


にしても、タイ・チェンマイ国際空港に着いて、空港の外に出ると空気がカラッと乾いていて、緩いサウナに入った感じだが汗は出てこない、そして、街特有の匂いが漂っている気がして、脳から体中に至るまでの全細胞が小刻みに胎動しているのを感じられた。タクシーに乗って宿に向かう途中の街中(まちなか)も以前と変わりなく淡々と日時を重ね、自然の営みを続けているように見える。そうした光景に接するだけで、何となく癒され、微笑がこぼれてくる。これって、いいものだ。郷愁なのか。至福の一時といえるかもしれない・・・なんて、穏やかな気分なっているのを感じられる。
旅先で都市の匂いを感じたのは初めてのことだ。チェンマイの匂いは何とも心地良い。多分、ニンニクと唐辛子、それに柔らかくて濃い太陽光線が相俟って醸し出しているのだろうか、鼻腔だけでなく、皮膚全体にも纏わりつきその匂いを共有している。閉塞感漂う重苦しい東京を抜け出してきているのをまさに実感できる。
かつて、東京にも、街には街の匂いがあり、その匂いは庶民の暮らしであり、のち郷愁となった。東京に来た欧米人は魚臭いといい、温泉街はたちこめる湯気や煮汁臭、駅前商店街では乾物やお茶、ラーメンなど流行っている店が数多くあり、時に乾物通りなどとも呼ばれたものだ。それが、いまはシャッターが下ろされ、ただの無味無臭の空間へと姿を変えてしまっている。そんな無味無臭こそが良い事、望まれること、わが国の目指すところとでもいうように・・・。でも、チェンマイには、まだ匂いはしっかりと残っていた。