◎混沌の中から何が生まれてくるのか・・・
にしても、カメはすっかり溶解し混沌とした脳を揺すりながら、年明け2012年の行方をちょっと占いつつ、あれこれ考えてみた。日本はどうなる、世界はどうなる・・・と大風呂敷を広げてみると、キーワードはカメの脳と同じく「混沌」の1語に尽きる。実は、昨年も混沌だった。混沌から混沌へ、そこには果たして何が生まれてくるのか。新たな天地創造なのかもわからないが、それを見届けられるほどロスタイムというか、寿命は残っていない。ただ、眼前に迫っているのは金融システムと国家崩壊の混乱と困惑、その後を覆う混沌、そして国家の枠組みが消滅し、基軸通貨のドルが紙くずになったあとに新しい国際金融システムを誕生させて経済の再生を図る中、その次に見えるのは自分の命と財産は自ら守っていかなければならない、全ては自己責任に帰する個人主義社会の到来だろう。何かのスローガンと同じく、「世界は一つ、人類みな兄弟」の世だ。
昨年(2011年)を振り返れば、日本では未曾有の大地震と巨大津波、そして、世界各地ではやはり地震、台風、豪雨、竜巻など自然災害が発生して、肝を冷やし、その上、日本では津波に端を発する原発の凄まじい爆発によって、科学技術が培ってきた数々の神話を瞬時に吹き飛ばして、それこそハルマゲドンの様相を呈し、なお、情けないことに国家機関は機能せず、いまなお、その惨状は続いてやり切れない思いに駆られる。それは、やはり傲慢になり過ぎた人間に対する地球の怒りなのかと感じてしまう。Tシャツ1枚で1年中過ごせてカメお気に入りの国、タイですら昨年は大洪水に見舞われ、その後始末にあと何年かかるのか・・・。
巨大な自然災害は100年に1回とか、1000年に1回とかの確率だが、人間の脳が生み出した金融は、いまや巨大な力を持ち、その力は膨張し、傲慢になり、利己的になり、多くの服従者を抱え、国家の中で最も重要な地位を占めるまでになって、時に、その災禍は止め処なく、国家の存亡すら揺るがす。何と、金融市場が世界を支配し平和と民主主義を脅かしているのだ。 これ、全ては金の力が強くなりすぎ、金に振り回された挙句の果て、成れの果てだ。
特に、金融工学の賜物であるCDS(Credit default swap) が象徴的だ。何もないところに価値を勝手に定義し、それをやり取りすることで利益を得るもので、いわば砂上の楼閣であり、妄想による錬金術ともいえるのだが・・・。かつて社会の木鐸とまでいわれた新聞をはじめとしたマスメディアが示すのは、大量消費、弱者の切り捨て、文化の軽視、快楽、そして行き過ぎた競争だけ。どうやら、衰退途上にあるわが国は、欧州、アメリカの先を転がり落ちているようだ。