2011/02/01

◎芥川賞受賞作『苦役列車』を読んでみた・・・


にしても、かつて芥川賞は候補作を読んでいた時期もあるのだが、受賞作品すら読まなくなってもう何年になるのか、インターネットの擬似空間がすっかり居心地が良くなって、読書とは無縁の生活を続けていたところ、つい先日、例の TV 5時に夢中 ! でコメンテーターの新潮45と週刊新潮の中瀬ゆかり元編集長が芥川賞について触れ、今回受賞した西村賢太さんを中卒フリーターで前科者、友達が一人もいない・・・と紹介、「平成の私小説作家、ついに登場!!」と帯にある新潮社刊の単行本『苦役列車』を手にウハウハしつつも、相方のコメンテーター、エロ作家、岩井志麻子の問いかけに「最初の作品からずっと読んでるから・・・」と答えているのを視聴していて、どうやら、「友達がいない」と「私小説家」という言葉がキーワードになったのか、何故か無性に読んでみたくなり、といってTUTAYAまで行って探す気にはならず(品切れ情報あり)、NETでと、このところ書籍で利用することが多い近所のセブンイレブンで受け渡しするセブンネットショッピングで検索、在庫があるのを確認して発注、今日届いたので、開いて読もうとしたところ、何と冒頭書き出しの2文字が「曩時」と初めて見る漢字、「のうじ」とルビはあるものの、これが私小説家流かと、先行きが思いやられたのだが、ま、夕方のTVニュース、食事、定番のTV番組を挟んで、珍しく4分の1日かけて読み切ったその感想は「ふぅ~ん、何だ、大したことないじゃん」、何せ、西村は受賞会見で「自 分よりもだめな人がいるんだなと思って、少しでも救われた思いになってくれたら、うれしい」なんていってたんだからねぇ、カメをはじめとして、もっともっと性質の悪い箸にも棒にもかからない輩はわんさといるんだから、やっぱり、もう私小説が棲息できる環境は失われているよなぁ、と改めて感じたのでした。
ちなみに、帯には「友もなく、女もなく、一杯のコップ酒を心の慰めに、その日暮らしの港湾労働で生計を立てている十九歳の貫多。或る日、彼の生活に変化が訪れたが・・・・・。こんな生活とも云えぬような生活は、一体いつまで続くのであろうか------。昭和の終わりの青春に渦巻く孤独と窮乏、労働と因業を渾身の筆で描き尽くす」とあるんだが、ねぇ。平成の老醜、孤老、年金格差、老老介護、介護保険・・・等々、一体いつまで生きるのであろうか、生きればいいのかって、ねぇ。ウフッ。