2011/06/03

◎モノの本質を有りの儘に見たくない日本人・・・


にしても、昨日の内閣不信任案否決の茶番劇は、あまりのお粗末さ、情けなさに「またか」と言葉を失うとともに、タイ・チェンマイで目撃したタバコの警告表示の衝撃が強く甦ってきた。日本人は・・・と、大上段に振り被ってもいいだろう、やはり、日本人はモノの本質を有りの儘に見ようとしない、見たがらない国民性が生まれながらに育まれているようだ。醜ければ見られるようになってから、不利な状況や危機が及ぶ際は言葉をいい換えてそれを薄めて、或いは別物のイメージで伝える。そうしないと、心臓が飛び出しかねない。安心できない。その象徴が「自衛隊」の存在であり、そんな言葉のすり替え術には実に長けている。そして、その齟齬を埋めるためには100万語を費やすことも厭わない。「絶対安全」からスタートした原子力発電にそもそも「防災」なんて言葉は存在し得なかったわけだ。とってつけたように、後からあんなことも、こんなことも・・・では、文字通りの泥縄で、追いつくわけはない。
もはや、市民活動そのままの手法を導入して憚らぬ缶からカンへの危機感がつのるのは当然だが、実はそれも曖昧模糊として判然としない。メルトダウンした釜の底に本気で手を突っ込もうという骨太の将は現れない。与野党とも政局遊びが好きなだけで、それもお遊戯程度、それこそ時局を誰も見極めようとしないし、誰も事態をとことん詰めようとしない。尻軽なまま、結局は右往左往して、烏合の衆と化す。これなら、本質から目を逸らしたまま、傷は浅く、血を見ることもなく、また赤絨毯の上をのうのうと闊歩できる。そんな安穏とした政治活動に慣れ痺れてしまっているのだ。

先日、チェンマイの街角のタバコ店で見かけた販売ケース、思わずぞっとデジカメのシャッターを押していた。な、何なんだ、である。ほんとに、これ、タバコなの、と思った。衝撃のその画像を思い切って、アップする。タバコの警告表示写真版である。警告表示はタバコの包装やタバコ関連商品に表示されている健康に関する警告で、喫煙の危険性を広く知らしめるためのもの。写真入りのタバコ警告表示は既に世界30数ヵ国で展開されていて、最初に採用したのはカナダ(2000年12月)で、 ブラジル、シンガポール、ベネズエラと続き、タイは世界で5番目、2005年の3月に現行の絵入り警告表示を導入、2006年には「 喫煙は肺がんの原因となる」の他、 喫煙は「心臓病の原因」「肺気腫の原因」「麻薬的な依存症」「性的能力を減少」「老化を早める」「死を招く」「あなたの家族や友人に害を及ぼす」「胎児に害を及ぼす」の新たな9種類の警告表示を導入、実施している。

そうしたタバコの包装を見れば、一目瞭然、手にするどころか、見ただけで反吐が出そうになるし、ヘビースモーカーを自認していたカメがいうのも憚られるが、それでもなお吸う喫煙者の気が知れない。さすがに、カメはそうした過剰表現の写真がタバコの実像の全てだとは思わないが、禁煙に効果があるだろうとは感じるし、そうした調査結果も報告されている。
一方、日本の警告表示については財務省が所管し定めていて、例の「喫煙は、あなたにとって肺がんの原因の一つ・・・」の文言のみで、タバコの本質、実像とはかけ離れていて、何とも綺麗なパッケージで恐怖心は湧き上がってこない。日本では多分、それで、何となくバランスが取れているのだろう。危ないものほど美味しいとか面白いとかいう輩もいるし、ほんと、日本人って奴は!!!