2006/10/18

◆『ずさんの連鎖』とはよくぞ・・・と妙に感心

にしても、『ずさんの連鎖』とはよくぞ・・・と感心した。まさに、言い得て妙だ。
この7月末、埼玉県ふじみ野市の市営プールで小2女児が吸水口に吸い込まれて死亡した事故で、市の事故調査委員会は事故原因をそう指摘した。市議会全員協で17日報告された内容は「事故は『ずさんの連鎖』によりもたらされた」とし、吸水口について防護さくを二重構造にするといった改修を怠るなど施設の管理に問題があったとし、さらに、吸水口のふたを針金で固定されていたことを市が確認していなかった点などを挙げ、「(市や管理業者は)吸水口がいかに危険かについて具体的認識が著しく希薄だった」と。 その上で報告書は再発防止に向け、本年度末までに市の全施設の点検マニュアルを作成することなどを提言しているそうだ。
10/06付け本ブログでマニュアル社会が加速・・・と書いた。流水プールの危険性など、一度でも体験してみれば、如何に吸い込む力が大きいかは実感できる。また、それがスリリングでもあるのだが・・・。
ちょっと想像力を働かせれば、この程度の危機認識、危機意識は共有できていたはずだ。ところが、いまの世では、たとえそれに気が付いても、それを敢えてしなくなった。見て見ぬ振りである。
で、事故が起こって初めて、それみたことか・・・と秘かに舌を出している人も多いのではないか。自分と関わりのないことには積極的に関与しようとしない。カメもそうだが、自分さえ良ければいいという自己中心型の人が増えているのだ。当然のことを一々マニュアル化しなければならないというのは、何とも情けない、嫌な世になってしまった。
このマニュアル化はすでにメーカーや交通機関など法人、団体などで定着している。で、何か不都合や事故が起こるとまたそれを見直して、作業、操作方法をがんじがらめにしている。かつての匠の技、職人芸といった人の能力はもはや見られなくなっている。
マニュアルさえあれば、事故が発生しても全てはマニュアルの不備で、誰も責任をとらなくてもよくなる。マニュアルの想定外の事象は免罪されてしまうわけだ。で、こんなことまで・・・と、細々したことまでマニュアルに盛り込まれることになる。
いまや社会生活、暮らしにまでそうしたマニュアルが蔓延してきて、それこそ道の歩き方までマニュアルに頼る日が近づいているようだ。『ずさんの連鎖』がどこまで進展するのか、カメにはますます住み難い世になりそうだ。