2014/01/13

◎プーケットで『古孤老』が初泳ぎ・・・

にしても、やっぱり海に入った。久々に気持ちいい、冷たくない海水の温もりが快感で、爽快だった。世界に名だたるリゾート、プーケット島、そこで最も人気の高いバトンビーチから200mの宿に草鞋を脱いで、海に入らない手はないだろうと思ってはいたが、やっぱり、ねぇ、トシよ、歳・・・。

海パンは何と準備怠りなく、丁度1年前、外房は御宿のリゾートマンションを買おうかと思った際、景気付けに衝動買いしたものだ。気にしていたのは、見栄だろうか、南北3kmにわたる広大なビーチを彩るパラソルとドリームベッドは、何ともゴージャスな景色だ。ケチなカメに張り合う気は毛頭もない。セレブはセレブと分別臭く納得して、ビーチの波打ち際を歩く度に欧米の格差の実態も目の当たりにした。波が打ち寄せる危うい砂場に荷物を置いて海に入る若いカップル、そんな主なき浜の姿を何枚かデジカメに撮りおいたのだが、カメもその1つと思っていただきたい。

何せ古孤老ともなれば、残念ながら海パン姿は濡れた手でデジカメを操作するわけにはいかず、ご容赦いただくとして、そのデジカメや財布など観光の必需品は全て部屋において、ビニールバッグにタオルとルームキーだけ入れてビーチに辿り着いた次第。そこで周りのパラソルと恐ろしいまでの巨大な白い肉塊に目をやり、次いで帽子をとり、ランニングとショートパンツを脱いでバッグに詰め砂場に脱いだビーチサンダルの上にバッグを寝かせ、あとは心置きなく海水浴というわけだ。

白砂は文字通り白砂で、素晴らしい。何より日本のように波に打ち寄せられる塵芥類がまったく見当たらない。白砂に混じって貝殻の小片がある程度だ。それに、ギンギンに照りつける真夏の太陽の陽射しがない。空は薄く厚く広がる雲に覆われ、そのフィルターを通して太陽は降りそぞぐから、砂浜がアッチッチとはならない。陽射しが優しい。ゴージャスな太陽の衣を纏った感じすら・・・ウフッ。これも体験して初めて知った。

波打ち際まで歩いて、波飛沫を浴びても冷たくはない。心地良い水温だ。嬉しくなる。水も澄んでいて、綺麗。沖を目指してゆっくり歩いてみるが、途中、波間に揺れるカメの生っちょろい太股には違和感を生じた。何とも情けない、そんな太股の姿に軽い憤りすら感じてしまった。汐の引きがけっこう強い。それでも、胸の高さまで進んだところで気を引き締め、クロールにトライした。ブレスの際、口内を通過した海水は甘しょっぱい気がした。細かいビートを続けながら、ふたかき、みかきしたろうか、息も些か乱れ、念のため深さを確かめるつもりで足を下ろしてみたが、もう足が届かない。トントンと跳ねて、呼吸した。遊泳区域を示す白いブイはまだずっと先だ。とても泳いではいけないだろう。無茶は禁物だ。

やはり浜を目指して泳ぐことにした。これが、存外に気持ち良い。ちょっと意外だった。何より、海水がお肉に優しいのだ。海水がお肉に馴染んでくるような感じもある。何とも嬉しい。そうか、これが羊水体験なのかもしれないとも思った。気持ちがいいわけだ。

波打ち際の砂に腰を下ろしてじっとしているのも気持ちが良い。ぼんやり周囲を見渡すのも良い。何より、時間の経過を意識しない。 時空を超えている? いや、無意識に時空と融合しているのかもしれない。そんな境地にもなれた。