2007/01/14

◇限りなくヒトに近い生物で、決してヒトではない

にしても、脳外科病床のベッドに寝ているとほとんど脳細胞を使わなくてもいいため、脊椎反射のみで生きている感覚だけは敏感になってくる。
ベッドにいると、脳細胞のほとんどが休息していることがわかる。全てはデジタル反応で、二者択一の選択肢にならないと脳細胞を刺戟しない。
将棋に例えれば「次の一手」の本当に次の一手だけで、三手先までは読んでいない。次の一手に対する相手の手も考えなければ、ましてその次の一手にまで想いが至らない。それをやろうとすると目茶目茶疲れるし、そう思うだけで面倒臭い。脳皮が突っ張り、脳の中にズシズシといったノイズというか、軋みを生じるのだ。
つまり、脊椎反射だけの生物というわけで、この状態では限りなくヒトに近い生物であって、決してヒトではない。
そんな脳の状態のまま、ボーっとテレビの画面を眺めていたら、前東京都知事の青島幸男さんが都内の病院で逝ったそうだ。74歳。青島さんは11月初旬、自宅で転倒し、頭部を強打。救急車で運ばれ、8針を縫った。その際、骨髄異形成症候群と診断され、入院。積極的な延命処置はしなかったという。
放送作家としてバラエティー番組「シャボン玉ホリデー」を手掛け、「意地悪ばあさん」では主演俳優、「人間万事塞翁が丙馬」で直木賞を受賞。また、参院議員として庶民の目線での政治を訴えるなど、昭和期を代表するまさに「マルチ人間」。
実は・・・当然ほとんど知られていないが、青島さんはカメと同じ高校の同窓生で、その中でも数少ない著名人・・・、カメは秘かにずっとそのマルチぶりに驚嘆し敬愛の念を抱いていたものだ。
とはいえ、テレビの画面で繰り返される青島さんの業績を見ていると、人の生き様、死に様は本人自身の評価、感想とは無縁のもの・・・。カメにとっては、いまでも「青島ダァ~」と顎を突き出しているような気がした。