◎「今の洋子を残したい」とはいえ、ただもう唖然・・・
にしても、テレビのドキュメンタリー番組は、何でもありでいいのか。テレビ朝日系の新番組「報道発ドキュメンタリ宣言」(3日午後7時…)を見て、首を捻った。これでは、つまみ食い、いいとこ取り、これでは真実、事実、実態は伝わらない、酷いことになった・・・、そう思った。
番宣や予告やらで、興味をかきたてられたテーマで、長門裕之と南田洋子夫妻に密着したドキュメント「消えゆく妻の記憶…今日の洋子は明日いない~女優・南田洋子がテレビから忽然(こつぜん)と姿を消した理由~」。74歳の長門と、深刻な老いと闘っている1歳年上の妻、南田の日常生活を追っていた。
紆余曲折の末、放映を承諾した長門は「いまの姿を客観的に記録して残したい」「戸惑いや躊躇もすべて見せよう」という心境になったようだ。
番組内では、こんなメッセージも残す。「昨日の洋子は今日いない。今日の洋子は明日いない。今の洋子を残したい」
俳優魂というか、老いの一徹というか、人間固有の凄みというか、ただもう唖然とするしかない、凄い事だ。
いくら、それらしく綺麗にまとめようと、その映像の根底にはそんな想いというか、怨念がこもっているようにしか見えず、疲労困憊するとともに、何を伝えたかったのか、もう、こんなドキュメンタリー番組はご免だと思った。