2012/03/14

◎タラート(市場)には生々しいヒトの営み全て網羅


にしても、チェンマイといえばもう一つも二つも観光の柱があって、それはワット(寺)巡り、それはそれでなかなか面白そうなのだが、カメの場合はそれがタブーになってしまった。今回も、着いて間もなくの時、ちょっと大きめの寺に自転車で踏み入ったところ、小型犬が砂埃を上げキャンキャンキャンと走り寄って来て、といって、飛びついてくるわけではなく、1mほどの距離は保ち、威嚇のつもりだろうが、甲高く喚き散らす感じ。それに呼応するようにあっちからこっちからもっと大型犬がウォン、ウゥー、ウォン、ウゥーと歯を剥き出して迫ってきて、いやぁ、怖い、怖い。どの犬もある一定の距離を保って集団で威嚇するのだ。カメは震え上がって、睨み合いながら徐々に退散したのだが、それがずっとトラウマになっていて、寺の境内には入らないようにしているのだ。この犬、いずれも野犬で、1つの寺に5、6頭は住みついているとのことだが、一斉に咆えられるとさすがに怖い。こんな按配では、ねぇ。
一方で、これまでちょっと疎んじていたタラート(市場)の魅力に嵌ってしまった。何せ、ここには多分昔ながらの北タイの雰囲気が色濃く残っていて、生々しいヒトの営みが全て網羅され、絡み合って粘っこく離れない。これまでも何度かチェンマイを訪ね、タラートはいくつも見ているのだが・・・今回は宿の立地に負うところがが大きい。歩いたら10分くらいか、自転車なら5分足らず。もっとも、タラートの境界は時間帯にもよるが、屋台群が溢れてくると判然としない。まっ、ちょっと自転車に乗れば、もうそこはタラートといった感じだ。ここワローロット市場はチェンマイにいくつかある大きなタラートの中でも有数の規模を誇り、チェンマイにやってくるタイ人観光客のためのショッピング・スポットとしての機能も有しているそうだ。

乾物や干しエビは雑多に、生肉や魚は無造作に並べられ、何より強烈で心地よい匂いが漂い、骨付きの生肉を捌く逞しい女性群には圧倒されてしまう。タライの中で勢いよく跳ねる小魚、妙な格好の野菜、ガラクタのような家庭雑貨・・・迷路のように入りくんだ小道、売り込みの大声をあげるおばちゃん、雰囲気も活気もあって、どこへ行っても混沌・猥雑としていて人間臭く、ヒトか生きている実感ある。そういう中をカメは滑らないように慎重に歩いていても、何となく渾然とした一体感が生まれてくるのだから、たまらない。至福の時といってもいいかもしれない。