2010/05/01

◎検察審査会の「起訴相当」は魔女狩り彷彿・・・


にしても、懸念していたマニュアル化社会はあれよあれよという間に浸透していて、これでもか、これでもかと新たなマニュアルを見せてくれて、不気味なだけではなく、ちょっと息苦しくなるほどだ。
マニュアル化社会とは、匠の人が不要になって素人が大手を振って跋扈する社会、つまり、森羅万象、ありとあらゆること、全ての判断、決断はパソコンに委ね、不都合、不具合が生じたら、その都度、マニュアルを見直し、ソフトを修正していこうという社会で、その象徴がマニュフェストを掲げて選挙戦を制し、政権交代した民主党なのだが、実は、その中にはまだ何人もかつての匠がそのまま残っているのだ。
その代表的存在が、党幹事長の小沢一郎で、資金管理団体「陸山会」の土地購入を巡る政治資金規正法違反事件で、小沢を不起訴(容疑不十分)とした東京地検特捜部の処分に ついて、東京第5検察審査会が小沢氏を起訴すべきだとして「起訴相当」とする議決を27日、公表したのだ。この議決を受け、特捜部は再捜査を行い、原則3カ月以内 に改めて刑事処分を決めなければならないのだが、これは司法制度改革の一環として、検察審査会法が改正され、昨年5月から議決に拘束力が生じるようになったのだ。素人が検察を指揮できるようになったということで、その危うさは、まさに魔女狩りを彷彿させるのだが・・・。
同じ日、殺人の公訴時効を廃止し、傷害致死など殺人以外で人を死亡させた罪の時効期間を2倍に延長することを柱とする改正刑事訴訟法と刑法が衆院本会議で成立。時効は、一方で、その期間逃げ切れる自信があれば「おやりなさい」という、いわば犯罪の勧めとの見解もあるし、それだけ時間が経つと冤罪を生みかねないとの懸念もあって、それだけに初動捜査の手法の見直し、科学的捜査の導入が重要だ。時効がなくなっては、素人探偵がいつまでも跋扈しかねない。くわばら、くわばら・・・。