◎脳梗塞で倒れリハビリ中の野坂昭如はいま・・・
にしても、チェンマイから帰って、何故か野坂昭如のことが気になってきた。脳梗塞で倒れリハビリ中のはずだが、いま、どうしているのか。ひょっとしたら、鬼籍に入ったか。訃報は覚えがない。TBSラジオ『土曜ワイドラジオTOKYO 永六輔その新世界』の番組表を見たら「野坂昭如さんからの手紙」のコーナーはあったが、タイトルだけで手紙は届いていなかった。ならば、いまも奥さんに介護されながらリハビリに励んでいるのか。多分、具合は良くないのだろう。野坂昭如オフィシャルホームページにアクセスすると、トップページ中央に「野坂昭如、ただいまリハビリ中」とあり、コンテンツの1つ「旅の果て日記」をクリックしたら、2003/5/9(5/21公開)が最新で、その後は更新されていない。脳梗塞で倒れたのは2003年5月26日、72歳の時だった。
野坂はカメよりちょうど13歳上で、いま80歳。直木賞作家、歌手、作詞家、タレント、政治家・・・、男っぽく、才能に溢れ、無頼の輩然として何をやっても格好良く、その野坂流ダンディズムの軌跡はずっと輝き続けて眩しく、カメなどにはとても真似るどころか、はるか遠く手の届かない羨望の対象だった。その後、バブルが弾けたころ以降か、雑誌などで時折野坂のエッセイとか日記を眼にするようになり、その「焼跡闇市派」の呻きに共感を覚えるようになっていた。何より、エロ、性に対する貪欲なまでの欲望をあけすけに、オナニーであったり、デリヘルであったり、その妄想と体験を恥かしげもなく吐露し、悦に入っているのはカメの腐肉体質に近く、同質の臭いを感じていたのだが・・・。
実は、誰であれ、リハビリに苦闘する姿をカメは正視できないし、見たくはない。輝いている姿をいつまでもイメージしていたい。それが、何故か、野坂については気になりだしたわけで、蒲田・大森界隈で例のBook OFFを中心に大型書店などものぞいてみたのだが、並んでいるのは文庫の『アメリカひじき』『火垂るの墓』ぐらい、「野坂昭如」のタグも用意されていない惨憺たる有様。栄枯盛衰をキュッと噛み締めたカメだが、ひょっとすると、「ざまあ見ろ」と外道のカメは低く呟き溜飲を下げているやもしれぬ。いや、はや、何とも気の毒・・・、言葉もない。
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